横浜自然観察の森 いきもののにぎわいのある森ブログ

                                 季節の生きものや風景のお話を、日本野鳥の会レンジャーが発信します!

カテゴリ: 昆虫のお話

先日、草刈りをしていたところ…

「うわぁ、お邪魔します!」
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上手に組み合わせたササの葉の中で、お休み中の虫をみーつけた!
糸を使って、葉っぱをつなげて巣をつくった様子。
葉の緑とのコントラストで、体のオレンジ色がよく目立ちます。
お腹の黒いボーダーのような模様が特徴的。
一緒に作業をしていたかなちんレンジャーにすかさず「コバネコロギス」と教えてもらいました。

その後も黙々と草刈り、集草、草刈り、集草…

と、1歩足を踏み出した時、足元からパタパタと細長い何かが飛び上がりました。
カマキリかなと思いつつ、降り立ったあたりを見てみると…。いない?
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(ピントが合っていないのはご容赦ください…)
それでもよーく見てみると、葉っぱにまぎれて上手に隠れていました。

「みーつけた!なんと、ナナフシ!?」
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この森にいる翅のあるナナフシのなかまは、ニホントビナナフシですが、体に対して翅が小さく、こんなに飛びあがったりはできなかったはず…。
また、前に観察したニホントビナナフシより体が茶色い褐色で細長く、触覚も長いような…。

センターに戻って図鑑をみたところ、正体は「タイワントビナナフシ」でした。
このナナフシは、長距離移動はできないようですが、ニホントビナナフシより長い翅をもっていて、今回みたようにパタパタと翅を使うことができたようです。

コバネコロギスもタイワントビナナフシも、昔は神奈川県で観察されていなかった、近年少しずつ観察されてきている種類のようです。
コバネコロギスは温暖な地域で見られる生きものなので、温暖化の影響で分布が北上したと考えられています。
一方、タイワントビナナフシは人の行動によって移入してきました。
この森にはどのようにやってきたか謎ですが、まさかの収穫にあふれた草刈りでした。

文・写真:まつもい

※この森では、「生きものを持ち帰らない・持ちこまない」がお約束。

森の中には涼しい北風が吹き、暑かった9月の終わり感じる今日この頃。
そんな時期によく見ることができる生きものがいます。

ヘイケボタルの湿地に行ってみましょう。
紫色の花がたくさん。ツリフネソウです。
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この花の形から漢字では「釣舟草」や「吊舟草」と書きます。湿った日当たりのよい場所によく生えます。

そんな花に訪れる生きものがいました。IMG_3483
マルハナバチの仲間です。
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お尻まですっぽり入っています!
どうやら花の中は奥深いみたいです。

他の花には見向きもせず、ツリフネソウの花にどんどん吸い込まれていきます。
一体この花にどんな魅力があるのでしょうか。

この不思議な形を調べれば何かわかるかもしれません。IMG_3393
横から見た外見

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断面

よーく見てみましょう。
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下の花弁の根元がトゲトゲしています。
花弁も大きく、訪花者がつかまりやすいように足場を用意してお出迎えしているのでしょうか。

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花の奥の方が黄色くなっていますがここに蜜があります。
ハチが奥まで入っていたのは蜜を集めるためだったんですね。
しかも奥がどんどん細くなっています。
これは小さい虫やマルハナバチのように舌が長い虫でないと蜜を集められない構造になっています。

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花の入口上部に雄しべと雌しべがあります。
マルハナバチは背中が毛でモフモフで花粉がつきやすいため、花を出入りするときに受粉させる作戦のようです。

まるでマルハナバチ専用といっていいほどフィットした形をしています。

調べる前は不思議な形だなと漠然と見ていましたが、今はこの形にも意味があるのだと気づくことができました。

※園内の生きものの採集は禁止です。植物は採らずに写真やスケッチで記録しましょう。


文・写真:ロビン

最近、園内でスズメバチの巣を見かけるようになりました。
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タンポポの道⑪ (キイロスズメバチの巣)
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タンポポの道⑭(キイロスズメバチの巣)
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タンポポの道終点(コガタスズメバチの巣)
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巣穴からこちらを見ていました。

散策路に近いハチの巣は、近日中に除去する予定ではありますが、
巣が近くに見当たらなくても、ハチに遭遇する場面はあるかと思います。

ハチに遭遇したら
じっと固まってやり過ごす。
近づいてきても手で払わない、攻撃しない。
巣を見つけたらゆっくり遠ざかる、巣を刺激しない。

このように対策いただくよう呼び掛けています。
少しでもお役に立てたら幸いです。

暑い日が続きますが、森に入るとクサヒバリやカネタタキの声が聞こえてきて、秋の到来を感じます。
自然の中には危険なところもありますが、あっという間に過ぎてしまう秋を楽しむには良い時期です。
無理のない程度に、散策をお楽しみください。

文・写真 まえむー

ちょろちょろ・・・
暑い日差しの中、森を巡回していると、
足元に黒と赤の鮮やかな虫が歩いていました。
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つやっつやの光沢に黒い目。おもちゃのような姿です。
よく知られたナナホシテントウより大きめです。

むむむ・・・こいつは・・・
ムネアカオオクロテントウ20230816タンポポの道10-11okubo - コピー

外来種のムネアカオオクロテントウでは・・・?

中国や台湾、ベトナムが本来のすみかで、
日本では2014年に侵入が確認されています。
クズによくいるマルカメムシを餌としているそうです。

マルカメムシ(資料)
20130908

私の家のまわりでも、たまに見かける虫でしたし、
横浜市南部にも2020年ごろには広がっていると聞いていました。
観察の森にも入ってきていたのだな・・・と。

これから、あちらこちらに目立つようになるのか、
こっそり少数が留まっていくのか、気にしていかなければと思いました。

文・写真 かなちん

しばらく木の花の少ない時期が続きましたが、
クサギの花が開き、ちょっと華やかになりました。
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この花にはモンキアゲハなど、アゲハチョウの仲間が
よく訪れます。

それをねらってなのか・・・
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ハラビロカマキリが花のそばにスタンバイしています。

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身をかがめて虫の視線になろうとしたら、
ぎょろっとにらまれた気がしました。

まだ羽の生えそろっていない幼虫です。
大人よりちょっと小さめ、
さて、彼(彼女?)に大物はとらえられるのでしょうか。

文・写真 かなちん

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