横浜自然観察の森 いきもののにぎわいのある森ブログ

                                 季節の生きものや風景のお話を、日本野鳥の会レンジャーが発信します!

2021年08月

舗装路を歩いていると足元にオオスズメバチが!
横にはアブラゼミの死骸。
一体何をしているのでしょう。
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刺激しないようにそーっと観察していると、大きく力強いアゴでセミの硬い体をガシガシかみ砕いていました。
しばらくすると中から肉を取り出しコネコネと器用に丸め始めました。
セミ肉団子の出来上がりです。
肉団子
顔くらいの大きさまでこねると、食べることなく、アゴと足で抱え、飛び去っていきました。

じつはスズメバチの成虫は固形物を食べることができず、花の蜜や樹液などの液体を栄養源としています。
では、なぜ肉団子を作ったのでしょうか。
それは巣でおなかを空かせて待っている幼虫たちに与えるためです。
幼虫は肉食で、固形物を食べます。幼虫が食べやすいようにこねていたのですね。
また成虫は、肉団子をあげると、幼虫の口から分泌される栄養満点の液体をもらうことができます。
栄養液にはたんぱく質などが多く含まれているそうです。

恐れられることの多いスズメバチですが、巣で待っている家族のために日々頑張っているのですね。

※ハチに出会ったら、手で払ったり、走ったりせず、ハチが離れていくのを待ってください。
たくさんのハチがいたら近くに巣がある可能性があります。その場から離れてください。
※巣があるかもしれませんので、園路からは外れないでください。

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横浜市は現在「緊急事態宣言」が適用されています。
引き続き感染防止対策にご協力ください。


文・写真:ロビン

タンポポの道を歩いていると、へんてこりんな生きものを見つけました。
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8㎜ほどのつやつやとした茶まんじゅうのようなものが、ススキの葉にちょこんと乗っています。
茶色い皮の下にはあんこがたっぷり詰まっていそうな…。(お昼時で空腹の私は、ついそんな風に思ってしまいました。)

観察しているうちに、これはきっと以前ブログで紹介した宇宙人のように見える「オオトリノフンダマシ」のなかまだ!と気がつき、再び背中の模様がなにかの生きものの顔に見えてきました。
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センターに戻って、他レンジャーに写真を見てもらうと、「ゴリラみたいな顔ですね!」との感想がありました。なるほど。たしかにゴリラの顔に見えます。
シロオビトリノフンダマシ - コピー
図鑑で調べると、予想通りトリノフンダマシのなかまの「シロオビトリノフンダマシ」のメスだとわかりました。
本来、名前のとおり体に白帯の模様が目立つ種類ですが、見つけた個体は全身がほぼ茶色一色で、その特徴が目立ちません。
色彩変異で全身黒いタイプもいるようですが、ちょうど中間くらいの変異なのでしょうか。

記録をさかのぼってみると、観察の森で見られているトリノフンダマシのなかまは、この「シロオビトリノフンダマシ」と「オオトリノフンダマシ」の2種類のようでした。
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もしかしたら他にも潜んでいるのかも…。この2種類以外にも、ぜひお目にかかりたいです!


文・写真・イラスト:かない

自然観察センターの新型コロナウイルス感染予防対策について
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引き続き感染防止対策にご協力ください。

横浜自然観察の森では年に一度、専門家を講師にお招きし、生きものの生態や「いきもののにぎわいのある森づくり(生物多様性の豊かな森の保全)」へ理解を深めるための講演会と実習を行なっています。
今年度は新型コロナウイルス対策のため、9月4日(土)に講演会のみをオンライン配信によって開催します。

今回は観音崎自然博物館学芸員の佐野真吾さんに、「10年後はどうなっているのか?~トンボとゲンゴロウから見た、神奈川県東部と自然観察の森~」と題してご講演いただきます。
佐野さんはゲンゴロウ、タガメ、トンボなど水辺の生きものの研究がご専門で、講演ではふだん見慣れない水の中の昆虫たちについて、たっぷりご紹介いただける予定です。
生きもの講演会2021チラシ

参加申込み締切りは8月25日(水)です。
申込み方法と詳細はこちらからご確認ください。

たくさんのご応募お待ちしております!

文:あらごん

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はじめまして。
5月から横浜自然観察の森で働き始めましたまつもいです。
植物や生きものについて知識のつたない私ですが、私の森での出会いや発見を紹介していきたいと思います。
どうぞ、よろしくお願いします。

働き始めてから1カ月が過ぎた6月ごろ森を歩いていたとき、私は鮮やかな青紫色と黄色に心を奪われ、あるお花のとりこになってしまいました。
この顔を見つけては、しずかに幸せに浸ってしまいます。
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「ツユクサ」という植物です。
身近な植物なので、なにを今さらと言われてしまいそうですが…。
この森に通うようになってから、道ばたの植物にも自然と目を向けるようになり、自宅近くの植え込みなどでふつうに咲いていることに気づきました。
花期は9月ごろまでなので、この先も私の小さな幸せ探しは続きそうです。

ツユクサは、花弁3枚のうち2枚が大きく、よく目立つ青紫色をしています。
あるレンジャーはミッキーマウスのようと例えていましたが、たしかに大きな耳のように見えてきました。
黄色い部分は3種類の形をした雄しべです。

横から見るとこんな不思議な形をしています。
ツユクサ210713松本1_resize
蕾を包む部分はキャッチャーミットのようで、図鑑には3~4個の蕾が入るとありました。
ツユクサは、朝明るくなるころにこのキャッチャーミットから1個だけ蕾を出して咲き始め、その日の昼頃には花としての一生を終える1日花です。
翌日以降に残りの蕾が順番に咲くようです。

キャッチャーミットの中をのぞいて見ると…
ツユクサ210713松本2_resize
花の根元あたりに若い果実でしょうか、2つ並んでいました。
ちょっと窮屈そうですが、この花が咲き終わったら、これからもっと窮屈になるのかもしれません。


外出しづらい日々が続きますが、こんな時こそ、お家のまわりで季節の”みちくさ”を楽しんでみてはいかがですか?
「こんなところにこんなお花が咲いていた!」、「よく観察してみたらこんな面白い形をしていた!」など新しい発見があるかもしれません。


文:まつもい 写真:かけした まつもい


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