いつもの出勤のとおりバスを降り、霊園口の階段を黙々と登っていました。
マスクをつけているのですぐに息が上がり、階段の終わりがあと少しというところで暑さや荒い呼吸などに耐えかねて足が止まってしまいました。
ふと登ってきた階段をふりかえってみると…。
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青々とした緑の中に小さな白い雲がたくさん浮いているような不思議な光景が目に留まりました。
白い雲のように見えているのは、今この森でたくさん咲いている「クサギ」の花です。
枝先や上の方の葉っぱ同士がくっついている茎とまたになった部分から複数の花がまとまって咲くのです。
1つ1つの花は白く、その下のがくは淡くピンクや紫色で可愛らしく、この花の近くを通るとマスク越しでもとても甘いいい香りも漂ってきて、とても気品を感じさせます。

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うっとりする芳香をもつクサギの花ですが、この木の和名は「臭木」。
枝や葉っぱをちぎると強い臭気があることに由来しています。
葉っぱをもんで匂いをかいでみると…たしかに青臭いような独特な匂いがあります。
人によってはピーナッツバターのような匂いと感じるようです。
この花の芳香よりも特徴的な葉っぱの匂いに引っ張られ、そこから名前がついてしまったことは可哀そうですが、印象に残ってしまうのも頷ける…。

花のピークは少し過ぎていますが、この時期だけのギャップはまだ楽しんでいただけると思います。
香しいクサギをぜひ。

※園内では、生きものを傷つけたり、採集することは禁止です。その場で傷つけずに観察をしましょう。

文・写真:まつもい


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