s-コナラ落果20151004霊園前落下後茶変 (2)
先日、低気圧が通りすぎた影響で、それほど大きな被害ではありませんが、森のあちこちで枝が折れたり木の実が落ちたりしました。

どんぐりも青いまま落ちたのが、でも数日で茶色に変わっています。まるでもとから茶色くなってちゃんと落ちてきたような顔をして、道の上にもコロコロころがっています。

ひろってきてじっとながめていると、おなじコナラのどんぐりでも、じつにいろんな形のがあります。どんぐりたちのあいだで、こんないいあらそいに起きても、しかたがないのかもしれません。

 「いえいえ、だめです、なんといったって頭のとがってるのがいちばんえらいんです。そしてわたしがいちばんとがっています。」
「いいえ、ちがいます。まるいのがえらいのです。いちばんまるいのはわたしです。」
「大きなことだよ。大きなのがいちばんえらいんだよ。わたしがいちばん大きいからわたしがえらいんだよ。」
「そうでないよ。わたしのほうがよほど大きいと、きのうも判事さんがおっしゃったじゃないか。」
「だめだい、そんなこと。せいの高いのだよ。せいの高いことなんだよ。」
「押しっこのえらいひとだよ。押しっこをしてきめるんだよ。」

(宮沢賢治「どんぐりと山猫」)

 

いろんな個性があっていい。いろんな個性があった方が楽しい。そんなふうに思います。

 

          (こみなみ)